顕微鏡歯科治療とは、小さい範囲を大きく拡大してはっきりと見て治療することです。小学校の授業で虫眼鏡で小さいものを大きく拡大して観察したことがあると思いますが、これと同じ様に小さな歯を大きく拡大して観ながら治療を行います。
当院では2008年開業時からむし歯治療では低倍率の拡大鏡を必ず使用して治療しておりました。
治療のクオリティーを上げたいという想いで徐々に高倍率の拡大鏡に移行し、2016年から手術用顕微鏡を導入しました。
顕微鏡歯科治療のメリットは何と言っても暗くて狭い口の中の治療部位を、明るく大きな視野で観られることにあります。
歯科治療に顕微鏡を使い始めると、拡大しない裸眼の治療がいかに見えていないのかを実感します。
裸眼治療は目を閉じて治療しているのと同じくらい怖いことであると、今では考えています。
つまり治療結果が全く異なるクオリティに出来ることを実感するので、裸眼治療は余程の理由がないかぎり行いませんし、お勧めしません。
当院の顕微鏡はドイツ、カールツァイス社製手術用顕微鏡、「pico with MORA interface」を用いています。これに様々なオプションと記録機器を接続し使用しています。
顕微鏡を用いると拡大して観察できるだけでなく、光を当てて暗い部分を明るくし、カメラを用いて撮影記録も同時に出来ます。
撮影と通常の観察の拡大倍率は約3.4倍~21.3倍ですが、特殊なオプションを装備しているので最高約42.6倍まで観ることが可能となっています。
撮影記録機器は市販品を組み合わせ、部分的には自作機器を製作して取り付け、動画記録、静止画撮影を行っております。
この撮影記録機器一式は、医療専門録画機器と遜色ないレベルで組み上げていると自負しており、2017年1月 日本顕微鏡歯科学会ウィンターセミナーにて自作機器のプロトタイプの発表、
2019年4月 第16回日本顕微鏡歯科学会学術大会ではその完成版の発表と機器の構成や利点などを口演とポスターで発表させていただきました。
この学会発表内容は記事として「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2020」(クインテッセンス出版)に書かせていただきました。
顕微鏡を設置したのは2016年1月ですが、2013年から顕微鏡歯科治療の知識や手技を徹底的に勉強し続けて現在に至ります。
勉強と練習を繰り返し、現在当院では一般歯科治療(保存修復、歯内療法)だけでなく、舌側矯正治療でも顕微鏡を用いて行っております。
舌側矯正で顕微鏡を用いるメリットなどの内容は、前記した2017年1月日本顕微鏡歯科学会ウィンターセミナーで口演と2017年10月の第76回日本矯正歯科学会学術大会でもポスター発表させていただきました。
おそらく日本顕微鏡歯科学会、日本矯正歯科学会共に、舌側矯正と顕微鏡の組み合わせの発表は日本初ではないかと思います。
|